LIVEDOG BLOG

国境を超えたスクラム

 

ラグビー日本代表は、そのメンバーのうち、海外出身者が約半数を占めるのだとか。
代表選択基準を国籍主義に置かない理由は、ラグビーというスポーツが、帝国主義であった頃の英国が発祥であり、植民地出身者や現地への赴任職員が、国籍よりも出生地や居住地を重んじて所属チームを選べるルールが制定されたからだそうです。
実にユニークですよね。

 

この本は、そんなラグビーの日本代表チームにおいて、海外出身や他国籍の選手たちがどのように日本のチームや文化に馴染み、また日本国籍の選手たちが彼らをどのように受け入れていったのかを、それぞれのインタビューなどからまとめ上げていったものです。

感慨深いのは、こんなにいかつくて、ムサ苦しくて、融通の効かなそうな風貌の連中が(失礼!)多様性ということに関して、極めて柔軟でおおらかで、洗練された考え方をしていること。
海外からのプレイヤーを「助っ人」として見ているのではなく、共に競い合い、日本ラグビーを豊かにする仲間として見ていること。

彼らはそんなことまったく思ってもいないかもしれないけど、彼らのチームはとても先進的で、今の日本の閉鎖的な気分を打開するおおらかな可能性を秘めているのかもしれないと、元ラガーマンの著者は言います。


そのおおらかさがチームワークとなり、今回のW杯での成果となり、多くの日本のファンを熱狂させることとなったのでしょうね。

排他的になってしまったらそこで終わりだけど、寛容であれば可能性が広がりますね。
このチームからは、多くを教わりました。

おつかれさまでした。
 

 

 

 

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| 読書のこと | 20:21 | comments(0) | - |
マーセル・セロー「極北」のこと

 

 

イギリスの作家、マーセル・セロー氏の「FAR NORTH」を村上春樹氏が翻訳した「極北」を読みました。
近未来の北東ユーラシアを舞台とし、戦争と温暖化で荒廃した世界から逃れてきた移民や難民たちに降りかかる禍と、そこから立ち上がる孤独な戦士の闘いを描いたディストピア小説です。


著者のセロー氏は、「自分が何かの終末に居合わせることになるなどと、人は考えもしない。自分が終末に含まれるだろうなどと、人は予期もしない」と登場人物のひとりに語らせます。しかし現在、環境は明らかに悪化し、世界は排他的傾向にあり、人類は自分たちで制御できないシステムを次々と生み出しています。この作品が発表されたのは7年前だけど、たった7年で人類はすごい勢いで終末を手繰り寄せようとしているように思えるのは悲観的に過ぎるでしょうか。
これは荒唐無稽な物語のようではあったけど、現代の我々が歩みつつある状況とも確実に一本の糸で繋がっている不気味さが感じられました。

しかし終盤には、不穏さの中に新世界への仄かな希望が灯り、荒廃したディストピアにあってまぶしい光を放ちます。新しい一日は闘志とともに始まる。

 

タフでドライヴ感あふれる展開と、それを支えるクールな文章(翻訳に当たった村上春樹氏の成果でしょうか)が素晴らしいです。

 

 

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| 読書のこと | 20:11 | comments(0) | - |
ゲッべルスと私

 

ヨーゼフ・ゲッべルスは、ナチスドイツで宣伝相として国民の煽動にあたった人物。
この本は、そのゲッべルスのもとで秘書としてタイピストなどを勤めたブルンヒルデ・ポムゼルさんへのインタビューを纏めて編まれたものです。有り体に言ってしまえば、上司であるゲッべルスの命に従っていたとはいえ、ナチスがドイツ国民を洗脳するための最前線にいた女性です。

 

ポムゼルさんは言います。ナチスが何をやろうとしているのか知らなかった。ポピュリストたちの振る舞いに自分たちが無関心であることが何をもたらすかは知らなかった。自分はただ仕事に忠実であっただけだと。だから、自分に罪は無いと。
103歳まで生きた彼女は、その人生のほとんどを罪の解放と自己弁護のために生きていたのかもしれない。言い換えれば、それをしないと生きていられなかったのかも。

 

ポムゼルさんと私たちの間には大きな違いがあります。
無関心を装い、声を上げずにいることによって、権力者たちの増長を許すことが私たちの生活や世の中に何をもたらすかを、私たちは知っているはずです。その上でも無関心でい続けることは、知らなかった人々のそれよりもはるかに罪深いと、ポムゼルさんの告白を読んで思いました。


アンテナを張り、いざという時には狼煙を上げ、不服を申し立てること。自由や権利ってやつは、履き古した靴のように玄関に転がってるものではなく、強固な自覚と意志のもとに守られるものだということ。
悔恨の念を秘めたポムゼルさんの回想は、警告として私たちに届きます。

 

 

 

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| 読書のこと | 19:56 | comments(0) | - |
角幡唯介「極夜行」

 

 

 極夜。北極圏の冬、太陽がずっと地平線の下に隠れ、氷の大地が闇に閉ざされる状態が続く時期があります。白夜の反対ですね。これは冒険家の角幡唯介氏が、相棒となったエスキモー犬のウヤミリックとともに重い橇を引きながら闇と氷に覆われた極夜の北極圏を歩いた冒険記です。

 闇と氷だけの世界へ、GPSも持たずにコンパスと地図を頼りにシステムの外側へ飛び出した著者とウヤミリックを襲うのは、ホワイトアウトならぬブラックアウトに陥ってしまう雪嵐や、中継地にデポした食料を熊に荒らされた結果の飢餓状態などなど。

 暗く冷たい世界での生死ギリギリの冒険の中で、ささやかな食事の時、排泄の時、雪嵐に弄ばれて必死に耐えている時、ウヤミリックはそれがハードな冒険の最中であることを忘れるほどユーモラスかつ愛嬌にあふれています(でも著者は最悪の事態にはこの犬をも食糧とすることが頭によぎるのですが…)

 

 文章はとても洗練されていて読みやすく、村上春樹作品を思わせるような文学性まで感じられ、悲惨な場面でもユーモアのかけらを置いておくことを忘れない、実にエンターテイメント性の高いノンフィクション作品でした。おすすめです!

 

 

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| 読書のこと | 16:31 | comments(0) | - |
Wonderful Story

 

 伊坂幸犬郎、木下半犬、貫井ドッグ郎ら、日本の若手中堅作家による、犬をテーマにしたワンソロジー。しかし、伊坂幸犬郎はまだ良いとしても、貫井ドッグ郎って(笑)

 サスペンスあり、ミステリタッチあり、青春小説風あり、バラエティに富んだ短編集となってます。中でもさすがの存在感を放ってるのが伊坂幸犬郎。寓話もどきの摩訶不思議な物語、要所要所で思わずニヤリとさせられるし、最後のオチも見事にキマってます。

この表紙から思い浮かべるようなラブリーな犬も出てこないし、キュートなストーリーも無いけれど(そういう意味ではこの表紙は詐欺まがいか)どれもが個性的でワンダーで、まさしくワンダフルな犬たち。

 空いた時間にさらっと読める短編ばかりなので、犬好き本好きの方達にかるーくおすすめできる愉快な一冊です。

 

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| 読書のこと | 20:54 | comments(0) | - |