極夜。北極圏の冬、太陽がずっと地平線の下に隠れ、氷の大地が闇に閉ざされる状態が続く時期があります。白夜の反対ですね。これは冒険家の角幡唯介氏が、相棒となったエスキモー犬のウヤミリックとともに重い橇を引きながら闇と氷に覆われた極夜の北極圏を歩いた冒険記です。
闇と氷だけの世界へ、GPSも持たずにコンパスと地図を頼りにシステムの外側へ飛び出した著者とウヤミリックを襲うのは、ホワイトアウトならぬブラックアウトに陥ってしまう雪嵐や、中継地にデポした食料を熊に荒らされた結果の飢餓状態などなど。
暗く冷たい世界での生死ギリギリの冒険の中で、ささやかな食事の時、排泄の時、雪嵐に弄ばれて必死に耐えている時、ウヤミリックはそれがハードな冒険の最中であることを忘れるほどユーモラスかつ愛嬌にあふれています(でも著者は最悪の事態にはこの犬をも食糧とすることが頭によぎるのですが…)
文章はとても洗練されていて読みやすく、村上春樹作品を思わせるような文学性まで感じられ、悲惨な場面でもユーモアのかけらを置いておくことを忘れない、実にエンターテイメント性の高いノンフィクション作品でした。おすすめです!
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